[SS]光の川

ベルドラの建物はどれも壮美で繊細、そしてどの部分を見てもきらきら光っているらしい。
リヴァイレッドのステンドグラスは彩り豊かで、だけど上品で神々しく輝いているんだとか。
ムテルアの噴水なんかは造形的にも逸話的にも素敵なものだって聞いた。
フェリードの都会にはおしゃれで可愛いカフェがあって、テラスでお茶するのに憧れたんだ。
外国の話を聞くたびに、外国を知るたびにその憧れは募り、一方で故郷に対する土臭さや野暮ったさにどんどん嫌気がさしたりもした。
だから知らなかった。

手を引かれるままにたどり着いた場所は、見たこともない光景だった。
いや、何度となく見かけてはいるはずの場所でもあった。
普段は何てことない、素朴な川。
今は暗闇の中、輝く数々の星と、それを受け止める川の両方の光の粒に包まれている。

天はただただ閑寂に。地は風とせせらぎできらきらと。
信じられないような幻想的な光景があたりに広がっている。
こんなにすぐ近くにあったものを、どうして気付けなかったんだろう。

可愛い巾着がほしかった。
おしゃれな櫛もほしかった。
だけど今この目の前に広がる光景以上の贈り物を、想像することなど出来るわけがなかった。
さっきはひっぱたいてしまったけど。
アタシのために、アタシのためだけに教えてくれたこの場所。
それ以上のものなど。

隣から向けられた祝福の言葉。
それに対し驚くほど自然にでてきた感謝の五文字。
今、アタシはどんな顔をしているのだろう。


18の誕生日に教えてもらえた場所。

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