[SS]いつの間に
「ねぇ、このページの絵の女の人」
「……ん?」
「どうして泣いてるの?」
「ああ……この作品か?」
「うん。じっと下見て泣いてるよ」
「何故だと思う?」
「ピーマン食べろって言われた」
「それはアルだ」
「うー。わかった、じゃあすごくお腹すいてる!」
「それもアルだろう。……いや、もしかしたらそうかもしれないな」
「やったぁ、あたり!」
「これは戦が今よりもっと激しい頃に戦争の悲しさを表した作品だと言われている。だが実際の事はよくわからない。本当にただ単に腹が減っていただけかもしれない。ろくな食べ物がないからな」
「じゃあ、じゃあ、この女の人が好きな食べ物は何かな? 何が食べられないから泣いてるの?」
「……林檎か?」
「それはロイだ」
「……」
「じゃあこのお祈りをしている絵は?」
「これも食い物を与えてくれたまえ、と」
「かわいそう。林檎わけてあげてよ」
「……。実は腹一杯だから林檎はいらないと言ってる絵だ」
「うそだあ! じゃあ代わりに食べてあげるよ!」
「結局アルが食いたいだけだな」
この丘でこの者と初めて出会ってからまだ三度目。
自分がこんなにも喋れるとは思ってもなかった。
もうすぐ大きな戦が始まるらしい、と告げると、次はいつ遊べる? と首を傾げた。
もう10年以上も前の話。